④回復期リハビリテーション病院で分かった高次脳機能障害の数々

こちらの記事では回復期リハビリ病院でリハビリをやりつつ発覚してきた夫の高次脳機能障害の数々とどのくらい現在回復したかも紹介しています。

書籍やネットにも例がなかった我が家の不思議な高次脳機能障害もありました。


回復期のリハビリは、色々な見解がありますが早く体を動かせば動かすほど機能の回復が認められるという論文も出ているそうで、夫も毎日リハビリをしていました。

全く何も出来ない状態から、支えありでベッドに座ることができるようになり、車椅子にも座ることが出来るようにもなったり少しづつですが日々成長が見られました。

しかしこの時点で普通の車椅子には座れず、リクライニング式の車椅子です。

前回の記事でも書いた通り、高次脳機能障害はすぐには分からないものなのです。私が半側空間無視の異変にはっきり気付いたのはチューリップの絵を描かせた時の出来事です。

夫の書いたチューリップは左側半分の葉っぱがなかったのです。

「うっそー・・・これは本とネットで調べた時に出てきた半側空間無視の症状まんまじゃないか・・・」と心の中で思いました。そしてとてもショックでした。。

半側空間無視とは・・・片方の空間にある物を見落としてしまうことです。 ふつう経験しない症状なので分かりにくいですが、例えば体の左側については見えていても「認識できない」のです。 そのため、左側の電柱にぶつかったり、左においてあるおかずを食べなかったりします。 の特定の部位が障害されると起こる症状であることが分かっています。

これをきっかけにどんどん高次脳機能障害が出てきました。

携帯電話を持ってきてほしいというので、携帯を持って行くと長文は打てないものの少しづつ単語や2行くらいの文章が送られてくるようになりました。

変な文章ですがリハビリにもなっているようで嬉しかったのも束の間、
ある日こんな文章が送られてきました。

「大体いつ頃から仕事復帰出来るかな?そんなに長く休めないし」このようメールが送られてきたんです!!!びっくりした。。

自分の体の状況を理解していないのです・・・

勢い的に職場復帰を来月くらいからしようとしているのです!!
頭蓋骨もないのに!!

こちらの症状ですが「病識の失認」「病識の欠如」「病識の欠落」と呼ばれる高次脳機能障害の症状です。

病識の失認とは・・・自分が障害を持っていることに対する認識がうまくできなかったり、障害がないかのようにふるまったり、言ったりすることです。

そしてどういう流れだったのかはちょっと忘れてしまったのですが、温厚しか取り柄のない夫が突然キレたのです!怒るというかあれはキレるという表現があってる気がします。

キレたのは高次脳機能障害になってからその時1度だけなのですが、感情のコントロールが上手く出来なかったり、日本人が得意な忖度も出来なくなってしまいました。

こちら社会的行動障害と言います。

社会的行動障害とは・・・①感情コントロールの低下 ②依存性、退行 ③共感生の低下 ④固執性 ⑤意欲、発動性の低下 ⑥欲求コントロールの低下 ⑦反社会的行動 等があります

細かく分けるともう少し色々あると思うのですが、大まかに分けるとこんな感じになります。

こちらの社会的行動障害は夫もあるのですが、全て当てはまるわけではありません。

個人個人で出方が違うと思いますが、わたしが調べた限り本当に大変な場合は手がつけられないくらい怒ってしまったり、警察沙汰になったりと色々家族の負担が大きいのですが、夫は脳出血で失った部分が大きい割には手がかかりません。

我が家の場合の社会的行動障害を具体的に説明してみましょう。

・感情コントロールの低下

→状況判断が出来ずに感情のコントロールが出来ない。
大袈裟に言うと、例えばお葬式や誰かが亡くなったのに笑ってしまったり、怒られてるのにニヤニヤしてしまったり。

ドラマやアニメを見て感動的なシーンで号泣をしたりします。

もちろん脳に障害を受ける以前はこのようなことはありません。

・深く物事が考えられない

→この深く考えるに関してですが、文章で説明するのがとても難しいのです。
これが夫の場合一番厄介な障害とも言えます。

例えばわたしたち健常者が、自分のお給料に対して少し高価な物を買う時に、今後のことを考えますよね?本当に必要かな?や、今月これを現金で買うとお金は大丈夫かな?カードで買うと翌月に請求になるけどどうかな?

↑このようなことは出来ないです。
ですが、言われれば「確かにそうだね、言われて分かった」となります。

お金の計算が出来ないと言うことはありません。
自分でお金をまとめたり使う分だけ財布に入れたりしています。

計算問題等も健常者レベルに出来ますが、半側空間無視の為、左の数字を見落とすことがあって計算ミスをすることがあります。

・空気を読んで行動できない(相手の気持ちを考えられない)

→例えばリモコンをとって欲しい、携帯電話の充電をして欲しい、色々なお願いがあると思いますが、それが頭に浮かんだらすぐに口に出してお願いしてしまいます。

わたしたち健常者の場合は、食器を洗ってる忙しい人や風呂に入ってる人を呼び出してまでそんなお願いしませんよね?それが出来ないんです。

メガネがないので探して欲しいというお願いがあったとします。

普通なら一旦探してから見つからないから探して欲しいってなりますよね?
でも一旦考えて探すことが出来ないのです。
思ったことはすぐ口から出てしまいます。

こちらも一時期に比べて改善傾向で、「一度探してみよう」と促すことで思い出して探したりしています。

紙に「一度考えてから行動!」と書いたりするのも良いでしょう。

・計画を立てて行動できない

→通常、仕事をする時でも効率を考えて順番を決めたりしますよね?
それが出来ません。

例えで仕事を出しましたが、生活の全てて私たちは知らず知らずに頭の中で効率を考えて動いていると思うのですがそういうこと全てに影響しています。

これに関しては、時間がある時は好きなようにやらせ、時間がない時はこちらで指示することで回避しています。

またやらなければいけない本人のタスクについては、都度アドバイスしているのでそこまで大きな問題にはなっていません。

当初に比べて改善傾向。

・依存性、退行

程度が人によって違いますが多少夫もあります。
しかし、だいぶ改善傾向にあり生活していく上でほとんど問題のないレベルです。

我が儘な子供のようになってしまう場合があるようで、そのような書籍も沢山読みましたが我が家は程度は低いです。

どうしても欲しいものが我慢できなくて騒いでしまったり、出方は色々あるようです。

・固執

異常に固執してしまうという障害ですが、夫もあります。

リハビリ病院で過ごしている中ではわからなかったのですが、在宅介護に切り替えて家に戻ってきてからはっきりとわかってきました。

顔に多少麻痺があるのですが、100円ショップで売っているような顔面コロコロローラーをわたしが与えたのがきっかけだったのですが、そのローラーに固執してしまい昼夜問わずローラーが手元から消えると探してくれと騒ぐようになりました。

少しづつローラーのない時間を増やし、意識を他のものにいくようにして、最終的にローラーを捨てることで(時間をかけて)解決しました。

その後も他のものに固執はするのですが、異常性はなく注意すらいらないレベルです。

社会的行動障害に関してはこのくらいだと思うのですが、ちょっと変わった高次脳機能障害が他にもあって、健常者の頃はなかった「フルネームをどうしても知りたがる」という不思議なこだわりがあります。

フルネームを知りたがるの他に、「感謝状を書きたがる」ということも起きてこちらが本当に厄介でした・・・

ただの礼儀正しい人じゃん?って思うかもしれませんが、異常なまでにこの2点にこだわり、家族としてはとても大変でした。

お世話になった人に感謝状を送ることも、別におかしなことではないとは思いますが、看護師さんやリハビリの先生はお仕事なわけで、言葉で感謝を伝えるだけでいいんだよと言っても聞きません。

感謝状と勢い的には何かお菓子でも買って送るというのです。
異常なほどそのことばかりを毎日言います。

またお世話になった人の連絡先を聞きたがるのです。
夫は文章がうまく書けないので、迷惑をかけてしまうし、連絡先は基本的に教えてもらえないものだと夫に説明しますが、親切な方は教えてくれてしまうのでその後迷惑をおかけしていないか心配です。

今は落ち着いて考えて多少は自分のしていることが変だとわかるので、そのようなことはしませんが、こういう高次脳機能障害もあるのです。

どこにもこんなこと書いてなくて、すごく困惑しました。
何が正解なのかわからないのです・・・

右脳の脳出血だったので、左脳損傷で多く見られる失語症や、失行と呼ばれることは障害として残りませんでした。

失語症の知り合いもいますが、これまた厄介な障害で、本当に脳は全ての体のことを牛耳る司令塔なんだなぁと思い知らされます。

失語症は、読む、書く、話す、等が上手く出来なくなる障害ですが、頭で考えた言葉が口から出てこない、頭で考えたことが書けないという障害になります。

人によって程度は違いますが、リハビリで少しづつ単語が言えるようになったり、言葉が話せるようになることももちろんあるので出来る限りリハビリをしてください。

失行は、手や指に障害があるわけではないのに頭で考えた動作が実際に動かす手や指に指令が行かなくなる障害です。

例えば頭で歯磨きをしたい→歯ブラシを持って歯を磨くために手を動かす。という風に指令がうまく行かずにその動作が出来ないことを言います。

入院中使用していて便利だったアイテムを紹介します。

リハビリ病院でも気管切開だったので、話す時は筆談メインでした。
その際にパッと書けて、ワンタッチで消せるこちらが便利でした。
片麻痺なので、テーブルに置いて使いました。

血栓予防の着圧靴下も、病院で買うよりも通販で買う方がだいぶ安いのでお勧めです。
片麻痺になってからは、現在も着圧靴下を履いています。
(履きっぱなしは良くないので、時間を見て脱がせます)

麻痺が起こると手足の指が拘縮します。拘縮予防にこのようなものを握らせるのですが、指を間に入れることができて風通しがよくなり匂いも篭りにくくなるのでとても重宝しました。
ずっと手を握ってしまうと爪の跡が手のひらについたり危ないので、適度に動かすのも大切です。

自分で寝返りが打てなかったので、褥瘡(床ずれ)防止の為に、体にクッションを挟んでいました。
体位交換が出来ない人の為のクッションはとても優秀で大活躍しました。
硬さは色々持っていましたが、三角になっていてるタイプは背中に差し込むように滑らせることが出来てとても重宝しました。

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